2012年4月15日 (日)

食品の放射能検査データを読むのに役立つ情報:農産物編

前の記事「出荷制限のあった地域と品目」の参考資料として、食品の放射能検査データを読むのに役立つ情報をまとめてみました。新情報はわかり次第追加して行く予定です。ここに載せきれなかった情報は、Togetterまとめ
「セシウムが出る、あるいは出ない理由はいろいろある」
に収録していますので、あわせてご覧下さい。

高い測定値が出る品目・産地は比較的限られており、理由もある程度わかっています。品目によっては複数の理由が重なっている場合もあります。
(水産物については情報量が圧倒的に不足しているため、ここにある情報は主に農産物に関するものに限られていることをご了承下さい)

東日本の空間線量率、土壌セシウム濃度マップ
p.28に地上1 mの空間線量率の地図、p.29に土壌セシウム濃度の地図があります。

【2012.5.12追記】
農地土壌の放射性物質濃度分布図
農林水産省が作成した東日本1都14県の農地の土壌セシウム濃度マップです。対象地域全図とあわせて都県別の地図が用意され、福島県下はさらに市町村別の地図もあります。農地の地図なので山林や市街地は抜けていますが、農産物の測定値と見比べるには十分です。

カリウムの多い食品と、食品のカリウムの含有量一覧表
含有量が100 gあたりのmg数で表示されているので、1 kg当たりのg数に直す必要があることにご注意下さい。
カリウムを多く含む食品の原料となる農産物は、土壌中のセシウムを吸収しやすいとされています。

農作物の施肥基準
p.14(印刷されたページ番号)の表を見れば酸性土壌を好む植物がわかります。酸性土壌を好む植物の種類が多いことに驚かされます。
酸性土壌はセシウムを結合しにくく、その分植物への移行が進みやすいとされています。
酸性土壌を好む栽培樹木の例:チャ、クリ、カキ、ウメ、モモ、ミカン
(ただし木の場合実際に土壌からの吸収の影響が出るにはもう少し時間がかかるかも、また根を深く張るものは土壌からの影響を受けにくい)

地表(あるいは木の表面)に沿って浅く根を張る植物:タケノコ、野生キノコ、ワラビ
土壌中のセシウムは大半が地表近く(深さ5 cmまで)に分布し、この範囲に根を張る植物は特に強く影響を受けます。
(逆に言えば、垂直に深く根を張る根菜類は影響を受けにくい)

新芽が食品として利用されるもの:茶、山菜の新芽
セシウムは活発に分裂している細胞に多く取り込まれます。

根以外の部分から食品として利用される部分へのセシウムの移行が問題になったケースもあります。
事故前からの古い葉の表面→新芽:茶
葉の表面→果実:ビワ(常緑樹、葉も大きい)
樹皮→果実:モモ(落葉樹)

【参考】
事故の年=2011年限定ですが、大気中から降った放射性物質が地上部分に及ぼした影響の大きさも考える必要があります。
地表に沿って葉を広げる植物:ホウレンソウ、その他葉もの野菜(最も影響の大きい部分を食品として利用)
事故直後が開花時期にあたっていた:ウメ(2月下旬-3月、モモは3月下旬-4月上旬)
開花時期にまだ放射性物質の降下があったと考えられる:福島県下のクリ・カキ(5-6月)
文部科学省の都道府県別降下物データで福島市だけは6月に入っても降下物が観測されていた
現在公開中の文部科学省の月間定期降下物データでは、福島県下の代表点は福島市ではなく双葉郡になっていますが、日報データは福島市内が代表点になっています)
事故直後の生育状況の差(種まきの時期の差に由来)が影響の大小に反映:コムギこちらの予測がほぼ的中)

【2012.5.18追記】
ご参考までに2011/3/15-2012/5/16の福島県下各地の空間線量率グラフをご覧下さい(リンクをクリックした後"View full size"を押せば拡大表示されます。玄侑宗久さんのお寺がある三春町は田村市と郡山市の中間にあります)。

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2012年4月 5日 (木)

出荷制限のあった地域と品目

厚生労働省が公表する食品の放射能検査結果に基づき、出荷制限が設定された地域と品目の情報をまとめました。
もとは食品流通構造改善促進機構が2011年4月11日からボランティアで運営していたデータベース「食品の放射能検査データ」(通称yasaikensa)の「出荷制限のあった地域と品目の放射能検査結果のグラフ」ページの見出しの情報だったのですが、残念ながら2012年3月31日をもってデータ更新が停止されてしまいました。
2012年4月1日以降、新しく出荷制限が設定されたり解除されたりしたらここで更新していきます。
注1)2012年4月30日をもってyasaikensaの閲覧が停止されたのを機会に、すべての日付を年号付きで表記することにしました。。
注2)太字は設定中の制限、★印は2012年4月3日、★★印は2012年4月9日追加した登録漏れ情報。
注3)出荷制限の設定、解除は原則として市町村単位で行われています。対象市町村数があまりに多かったり、淡水魚のように川の流域の一部を限定して設定されている場合は、設定日付をクリックすると設定指示で詳細を確認できます。
注4)「なぜこの産地のこの品目は測定値が高いのか、出荷制限がかかっているのか」と思ったときは
食品の放射能検査データを読むのに役立つ情報:農産物編
をご覧下さい。全部を網羅することはできませんが、いくつか決まった理由があります。水産物編もそのうち作ります。
注5)出荷制限品目の測定値の時間変化をグラフ表示する方法をコメントに書いておきましたのでご覧下さい。
注6)県によっては出荷制限品目とあわせて出荷自粛品目をまとめてホームページに公開している所があり、非常に重宝です。たいてい基準値越え(100 Bq/kg以上)の測定値が1検体でも出た品目は、その時点で原則として市町村単位で県から出荷自粛が要請されています。コンタンさんにコメントでご教示いただいたサイトとこちらで探し出したものを以下にご紹介させていただきます。有難うございました。
[茨城県]
水産物の出荷・販売等の規制に関する情報
茨城県における出荷制限指示等の状況
(下は農産物、林産物も含む一覧表)
[宮城県]
農畜水産物の出荷制限について
出荷制限指示及び出荷自粛要請の状況
(下は出荷制限・出荷自粛品目の一覧表だけを抜き出したもの)
【2012.5.12追記】
農林水産省のホームページが
東京電力福島第一原子力発電所事故を踏まえた円滑な食品流通の確保について
という特設コーナーを設けて、出荷制限品目と出荷自粛品目の全国規模の一覧表を公開しています。設定日付はなく、解除されると一覧表から消されます。

<福島県>
福島県のユズ(福島市、南相馬市)(2011/8/29から制限)
福島県のユズ(伊達市、桑折町)(2011/10/14から制限)
福島県のたけのこ(伊達市、相馬市、いわき市、三春町、天栄村、平田村)(2011/5/9から制限、2011/5/30より一部解除)
福島県のたけのこ(南相馬市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、西郷村)(2011/5/13から制限、2011/6/21より一部解除)★★
福島県のたけのこ(平田村)(2011/5/9から制限、2011/5/30解除)★★
福島県のたけのこ(いわき市)(2011/5/9から制限、2011/6/8解除、2012/4/9から再制限)★★
福島県のたけのこ(国見町)(2011/5/13から制限、2011/6/21解除)★★
福島県のたけのこ(天栄村)(2011/5/9から制限、2011/6/21解除)★★
福島県のたけのこ(福島市、新地町)(2012/4/16から制限)
福島県のたけのこ(広野町)(2012/4/23から制限)
福島県のたけのこ(二本松市、大玉村)(2012/5/2から制限)
福島県のたけのこ(須賀川市)(2012/5/7から制限)
福島県のくさそてつ(福島市、桑折町)(2011/5/9から制限)
福島県のくさそてつ(相馬市、伊達市、国見町、三春町)(2012/5/1から制限)
福島県のくさそてつ(川俣町)(2012/5/2から制限)
福島県のくさそてつ(田村市、古殿町)(2012/5/7から制限)
福島県のくさそてつ(二本松市、大玉村)(2012/5/10から制限)
福島県の原乳(2011/3/21から制限、2011/4/8以降順次部分解除)
福島県の原乳(喜多方市、磐梯町、猪苗代町、三島町、会津美里町、下郷町、南会津)(2011/3/21から制限、2011/4/8解除)
福島県の原乳(福島市、二本松市、伊達市、本宮市、国見町、大玉村、郡山市、須賀川市、田村市、三春町、小野町、...)(2011/3/21から制限、2011/4/16解除)
福島県の原乳(相馬市、新地町)(2011/3/21から制限、2011/4/21解除)
福島県の原乳(会津若松市、桑折町、天栄村、檜枝岐村、只見町、北塩原村、西会津町、会津坂下町、湯川村、柳津町、金山町、昭和村、棚倉町、玉川村、広野町、楢葉町)(2011/3/21から制限、2011/10/7解除)
福島県のイカナゴ(コウナゴ)(2011/4/20から制限)
福島県のカブ(2011/3/23から制限)(広野町、川内村は2011/11/4解除)
福島県の葉茎菜類(2011/3/21,23から制限、2011/10/28一部解除)
福島県のウメ(福島市、伊達市、桑折町)(2011/6/2から制限)
福島県のウメ(相馬市、南相馬市)(2011/6/6から制限)
福島県のヤマメ(養殖を除く)(秋元湖、檜原湖及び小野川湖並びにこれらの湖に流入する河川、長瀬川(酸川との合流点から上流の部分に限る。)及び福島県内の阿武隈川(支流を含む。))(2011/6/6から制限)
福島県のヤマメ(養殖を除く)(真野川(支流を含む。))(2011/6/17から制限)
福島県のウグイ(真野川(支流を含む。))(2011/6/17から制限)
福島県のウグイ(阿武隈川のうち信夫ダムの下流(支流を含む。))(2011/6/27から制限)
福島県のアユ(養殖を除く)(阿武隈川のうち信夫ダムの下流(支流を含む。)、真野川(支流を含む。)及び新田川(支流を含む。))(2011/6/27から一部制限)
福島県の牛肉(2011/7/19から制限、2011/8/25一部解除)
福島県の原木しいたけ(露地)(伊達市、相馬市、南相馬市、田村市、川俣町、浪江町、双葉町、大熊町、富岡町、 楢葉町、広野町、飯舘村、葛尾村及び川内村)(2011/4/13から制限)
福島県の原木しいたけ(露地)(福島市)(2011/4/18から制限)
福島県の原木しいたけ(露地)(本宮市)(2011/4/25から制限)
福島県の原木しいたけ(露地)(二本松市)(2011/10/18から制限)
福島県の原木しいたけ(施設栽培)(伊達市)(2011/7/19から制限)
福島県の原木しいたけ(施設栽培)(新地町)(2011/7/22から制限)
福島県の原木しいたけ(施設栽培)(本宮市)(2011/7/19から制限、2011/9/7解除)
福島県の原木しいたけ(施設栽培)(川俣町)(2011/11/14から制限)
福島県の菌根菌に属するキノコ類(野生のものに限る。)(棚倉町、古殿町)(2011/9/6から制限)
福島県の野生キノコ(会津地方を除く43市町村)(2011/9/15から制限)
福島県のクリ(伊達市、南相馬市)(2011/9/20から制限)
福島県の野生きのこ(喜多方市)(2011/10/18から制限)
福島県の原木ナメコ(露地栽培)(相馬市、いわき市)(2011/10/31から制限)
福島県のイノシシ肉(相馬市、南相馬市、広野町、楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、新地町、川内村、葛尾村、飯舘村)(2011/11/9から制限)
福島県の原木しいたけ(施設栽培)(川俣町)(2011/11/14から制限)
福島県の米(伊達市(旧小国村、旧月舘町))(2011/11/29から制限)
福島県の米(福島市(旧小国村))(2011/11/14から制限)
福島県の米(福島市(旧福島市))(2011/12/5から制限)
福島県のイノシシ肉(福島市、二本松市、伊達市、本宮市、桑折町、国見町、川俣町、大玉村)(2011/11/25から制限)
福島県のイノシシ肉(郡山市、須賀川市、田村市、白河市、いわき市、...)(2011/12/2から制限)
福島県のクマ肉(福島市、二本松市、伊達市、本宮市、郡山市...)(2011/12/2から制限)
福島県の米(二本松市(旧渋川村))(2011/12/8から制限)
福島県の米(伊達市(旧柱沢村、旧富成村))(2011/12/9から制限)
福島県のキウィフルーツ(相馬市、南相馬市))(2011/12/9から制限)
福島県の米(伊達市(旧掛田町))(2011/12/19から制限)
福島県の米(伊達市(旧堰本村))(2012/1/4から制限)
福島県のユズ(いわき市)(2012/1/10から制限)
福島県のウグイ(秋元湖、桧原湖及び小野川湖並びにこれらの湖に流入する河川、長瀬川(酸川との合流点から上流部分に限る。))(2012/3/29から制限)
福島県のウグイ(猪苗代湖等の一部水域)(2012/4/24から制限)
福島県のヤマメ(養殖を除く)(新田川(支流を含む。)、太田川(支流を含む。))(2012/3/29から出荷制限)
福島県のヤマメ(養殖を除く)(新田川(支流を含む。))(2012/3/29から摂取制限)
福島県のヤマメ(酸川(支流に限る。))(2012/4/5から制限)
福島県のヤマメ(猪苗代湖等の一部水域)(2012/4/24から制限)
福島県のイワナ(阿武隈川(支流を含む。))(2012/4/5から制限)
福島県のイワナ(酸川(支流に限る。))(2012/4/12から制限)
福島県のイワナ(秋元湖等の一部水域)(2012/4/24から制限)
福島県のコイ(秋元湖、小野川湖及び檜原湖並びにこれらの湖に流入する河川(支流を含む。)、阿賀川のうち大川ダムの下流(支流を含む。ただし、東京電力株式会社金川発電所の上流及び片門ダムの上流を除く。)並びに長瀬川(酸川との合流点から上流の部分に限る。))(2012/4/27から制限)
福島県のコイ(養殖を除く)(阿武隈川のうち信夫ダムの下流(支流を含む。))(2012/5/10から制限)
福島県のフナ(秋元湖、小野川湖及び檜原湖並びにこれらの湖に流入する河川(支流を含む。)、阿賀川のうち大川ダムの下流(支流を含む。ただし、東京電力株式会社金川発電所の上流及び片門ダムの上流を除く。)、長瀬川(酸川との合流点から上流の部分に限る。)並びに真野川(支流を含む。))(2012/4/27から制限)
福島県のフナ(養殖を除く)(阿武隈川のうち信夫ダムの下流(支流を含む。))(2012/5/10から制限)
福島県一部地域の平成24年度産米(2012/4/5から制限)
福島県の野生ふきのとう(相馬市、田村市、川俣町、広野町)(2012/4/9から制限)
福島県の野生ふきのとう(伊達市、桑折町、国見町)(2012/4/16から制限)
福島県の畑ワサビ(伊達市、川俣町)(2012/4/16から制限)
福島県のたらの芽(野生のものに限る)(いわき市、相馬市、伊達市、桑折町)(2012/5/1から制限)
福島県のたらの芽(野生のものに限る)(福島市)(2012/5/2から制限)
福島県のたらの芽(野生のものに限る)(郡山市、白河市、塙町、新地町)(2012/5/7から制限)
福島県のたらの芽(野生)(大玉村、西郷村)(2012/5/10から制限)
福島県のたらの芽(野生)(川俣町)(2012/5/14から制限)
福島県のこしあぶら(福島市、二本松市)(2012/5/2から制限)
福島県のこしあぶら(郡山市、白河市、喜多方市、会津美里町、棚倉町、塙町)(2012/5/7から制限)
福島県のこしあぶら(伊達市、国見町、矢祭町、磐梯町、下郷町、大玉村、西郷村、鮫川村)(2012/5/10から制限)
福島県のこしあぶら(須賀川市、いわき市、川俣町、石川町、天栄村)(2012/5/14から制限)
福島県のこしあぶら(桑折町、猪苗代町)(2012/5/17から制限)
福島県のぜんまい(いわき市、二本松市)(2012/5/2から制限)
福島県のぜんまい(相馬市)(2012/5/10から制限)
福島県のわらび(いわき市、伊達市)(2012/5/10から制限)
福島県のわらび(福島市、喜多方市、川俣町)(2012/5/17から制限)

<茨城県>
茨城県のパセリ(2011/3/23から制限、2011/4/17解除)
茨城県のかき菜(2011/3/21から制限、2011/4/17解除)
茨城県の原乳(2011/3/23から制限、2011/4/10解除)
茨城県のほうれん草(北茨城市、高萩市を除く)(2011/3/21から制限、2011/4/17解除)
茨城県のほうれん草(北茨城市、高萩市)(2011/3/21から制限、2011/6/1解除)
茨城県の茶(2011/6/2から制限、2011/10/18一部解除)
茨城県の茶(古河市、常総市、坂東市、八千代町、境町)(2011/6/2から制限、2011/10/18解除)
茨城県の茶(大子町)(2011/6/2から制限、2012/4/9解除)
茨城県の原木しいたけ(露地栽培及び施設栽培)(鉾田市、土浦市)(2011/10/14から制限)
茨城県の原木しいたけ(露地栽培)(小美玉市、行方市)(2011/10/14から制限)
茨城県の原木しいたけ(露地栽培及び施設栽培)(茨城町)(2011/11/10から制限)
茨城県の原木しいたけ(露地栽培)(阿見町)(2011/11/10から制限)
茨城県の原木しいたけ(露地栽培)(守谷市、常陸大宮市、つくばみらい市)(2012/4/6から制限)
茨城県の原木しいたけ(露地栽培)(ひたちなか市、那珂市)(2012/4/13から制限)
茨城県のイノシシ肉(2011/12/2から制限, 2011/12/21一部解除)
茨城県のイノシシ肉(石岡市)(2011/12/2から制限, 2011/12/21解除)
茨城県のたけのこ(潮来市、つくばみらい市、小美玉市)(2012/4/6から制限)
茨城県のたけのこ(石岡市、龍ヶ崎市、取手市、守谷市、茨城町、利根町)(2012/4/13から制限)
茨城県のたけのこ(ひたちなか市、鉾田市、東海村)(2012/4/19から制限)
茨城県のたけのこ(北茨城市、大洗町)(2012/4/26から制限)
茨城県のこしあぶら(野生のものに限る)(日立市、常陸大宮市)(2012/5/2から制限)
茨城県のこしあぶら(野生)(常陸太田市)(2012/5/10から制限)
茨城県沖のシロメバル(2012/4/13から制限)
茨城県海域のスズキ(2012/4/17から制限)
茨城県海域のニベ(2012/4/17から制限)
茨城県海域のヒラメ(2012/4/17から制限)
茨城県霞ヶ浦水系のアメリカナマズ(養殖を除く。)(2012/4/17から制限)
茨城県霞ヶ浦水系のギンブナ(養殖を除く。)(2012/4/17から制限)
茨城県の一部地域のウナギ(2012/5/7から制限)

<栃木県>
栃木県のかき菜(2011/3/21から制限、2011/4/17解除)
栃木県のほうれん草(那須塩原市、塩谷町)(2011/3/21から制限、2011/4/21解除)
栃木県のほうれん草(那須塩原市、塩谷町を除く)(2011/3/21から制限、2011/4/27解除)
栃木県の牛肉(2011/8/2から制限、2011/8/25一部解除)
栃木県の茶(鹿沼市、大田原市)(2011/6/2から制限)
栃木県の茶(栃木市)(2011/7/8から制限)
栃木県の原木ナメコ(露地栽培)(那須塩原市、日光市)(2011/11/14から制限)
栃木県の原木クリタケ(露地栽培)(鹿沼市、矢板市)(2011/11/7から制限)
栃木県の原木クリタケ(露地栽培)(大田原市、那須野市)(2011/11/8から制限)
栃木県の原木クリタケ(露地栽培)(足利市、佐野市、真岡市、さくら市、那須烏山市、上三川町、茂木町、市貝町、芳賀町、高根沢町)(2011/11/14から制限)
栃木県のイノシシ肉(2011/12/2から制限、20111/12/5一部解除)
栃木県のシカ肉(2011/12/2から制限)
栃木県のイノシシ肉(那珂川町)(2011/12/2から制限、2011/12/5解除)
栃木県の原木しいたけ(露地栽培及び施設栽培)(那須塩原市,矢板市)(2012/2/16から制限)
栃木県の原木しいたけ(露地栽培)(宇都宮市、さくら市、芳賀町、塩谷町、高根沢町、那須町)(2012/4/10から制限)
栃木県の原木しいたけ(露地栽培)(足利市、鹿沼市、真岡市、那須烏山市、上三川町、茂木町、市貝町、那珂川町)(2012/4/12から制限)
栃木県の原木しいたけ(露地栽培)(栃木市、壬生町)(2012/4/13から制限)
栃木県の原木しいたけ(施設栽培)(那須町)(2012/4/10から制限)
栃木県の原木しいたけ(施設栽培)(大田原市)(2012/4/12から制限)
栃木県のたらの芽(野生のものに限る)(大田原市、矢板市)(2012/4/27から制限)
栃木県のたらの芽(野生のものに限る)(那須町)(2012/5/1から制限)
栃木県のたらの芽(野生のものに限る)(貝町)(2012/5/2から制限)
栃木県のたけのこ(那須塩原市、那須町)(2012/5/1から制限)
栃木県のたけのこ(日光市、大田原市)(2012/5/7から制限)
栃木県のくさそてつ(野生のものに限る)(大田原市、那須町)(2012/5/1から制限)
栃木県のくさそてつ(野生のものに限る)(那須塩原市)(2012/5/2から制限)
栃木県のこしあぶら(野生のものに限る)(大田原市、那須町、茂木町)(2012/5/1から制限)
栃木県のこしあぶら(野生のものに限る)(宇都宮市、那須烏山市)(2012/5/2から制限)
栃木県のこしあぶら(野生のものに限る)(鹿沼市、日光市、矢板市、那須塩原市、塩谷町)(2012/5/7から制限)
栃木県のこしあぶら(野生)(さくら市)(2012/5/15から制限)
栃木県のさんしょう(野生のものに限る)(宇都宮市、日光市)(2012/5/1から制限)
栃木県のさんしょう(野生)(那須塩原市)((2012/5/14から制限)
栃木県のぜんまい(野生のものに限る)(日光市、那須町)(2012/5/7から制限)
栃木県のわらび(野生)(2012/5/17から制限)
栃木県の一部地域のウグイ(養殖を除く)(2012/5/7から制限)

<群馬県>
群馬県のかき菜(2011/3/21から制限、2011/4/8解除)
群馬県のほうれん草(2011/3/21から制限、2011/4/8解除)
群馬県の茶(渋川市、桐生市)(2011/6/30から制限)
群馬県のヤマメ(吾妻川のうち岩島橋から東京電力株式会社佐久発電所吾妻川取水施設までの区間(支流を含む。)、薄根川(支流を含む。)、小中川(支流を含む。)及び桃ノ木川(支流を含む。))(2012/4/27から制限)

<千葉県>
千葉県のほうれん草(旭市、香取市、多古町)(2011/3/21から制限、2011/4/8解除)
旭市(千葉県)のパセリ(2011/4/4から制限)
旭市(千葉県)のセルリー(2011/4/4から制限)
旭市(千葉県)の春菊(2011/4/4から制限)
旭市(千葉県)のチンゲンサイ(2011/4/4から制限)
旭市(千葉県)のサンチュ(2011/4/4から制限)
千葉県の茶(野田市、成田市、八街市、富里市、山武市)(2011/6/2から制限)
千葉県の茶(勝浦)(2011/7/4から制限)
千葉県の茶(大網白里町)(2011/6/2から制限、2011/9/7解除)
千葉県の原木しいたけ(露地)(我孫子市、君津市)(2011/10/11から制限)
千葉県の原木しいたけ(露地栽培)(流山市)(2011/11/18から制限)
千葉県の原木しいたけ(露地栽培)(佐倉市)(2011/12/22から制限)
千葉県の原木しいたけ(露地栽培)(印西市)(2012/2/23から制限)
千葉県の原木しいたけ(露地栽培)(白井市)(2012/4/10から制限)
千葉県の原木しいたけ(露地栽培)(千葉市、八千代市)(2012/4/18から制限)
千葉県の原木しいたけ(露地栽培・施設栽培)(山武市)(2012/5/16から制限)
千葉県のたけのこ(市原市、木更津市)(2012/4/5から制限)
千葉県のたけのこ(我孫子市、栄町)(2012/4/6から制限)
千葉県のたけのこ(船橋市)(2012/4/12から制限)
千葉県のたけのこ(芝山町)(2012/4/18から制限)

<岩手県>
岩手県の牛肉(2011/8/1から制限、2011/8/25一部解除)
岩手県の原木しいたけ(露地栽培)(陸前高田市、住田町)(2012/4/13から制限)
岩手県の原木しいたけ(露地栽培)(大船渡市)(2012/4/20から制限)
岩手県の原木しいたけ(露地栽培)(一関市、釜石市、奥州市、平泉町、大槌町)(2012/4/25から制限)
岩手県の原木しいたけ(露地栽培)(花巻市、北上市、遠野市、金ヶ崎町、山田町)(2012/5/7から制限)
岩手県の原木しいたけ(露地栽培)(盛岡市)(2012/5/10から制限)
岩手県のこしあぶら(花巻市、奥州市)(2012/5/10から制限)
岩手県のこしあぶら(盛岡市)(2012/5/14から制限)
岩手県のこしあぶら(釜石市)(2012/5/15から制限)
岩手県のぜんまい(一関市、奥州市)(2012/5/16から制限)
岩手県のわらび(野生)(奥州市、陸前高田市)(2012/5/16から制限)
岩手県のイワナ(養殖を除く)(磐井川(支流を含む。)及び砂鉄川(支流を含む。))(2012/5/8から制限)
岩手県のウグイ(大川(支流を含む。)及び同県内の北上川のうち四十四田ダムの下流(支流を含む。ただし、石羽根ダムの上流、石淵ダムの上流、入畑ダムの上流、御所ダムの上流、外山ダムの上流、田瀬ダムの上流、綱取ダムの上流、豊沢ダムの上流及び早池峰ダムの上流を除く))(2012/5/11から制限)

<宮城県>
宮城県の牛肉(2011/7/28から制限、2011/8/19一部解除)
宮城県の原木しいたけ(露地栽培)(白石市、角田市)(2012/1/16から制限)
宮城県の原木しいたけ(露地栽培)(丸森町)(2012/3/8から制限)
宮城県の原木しいたけ(露地栽培)(蔵王町)(2012/3/15から制限)
宮城県の原木しいたけ(露地栽培)(村田町)(2012/4/5から制限)
宮城県の原木しいたけ(露地栽培)(栗原市)(2012/4/12から制限)
宮城県の原木しいたけ(露地栽培)(石巻市)(2012/4/19から制限)
宮城県の原木しいたけ(露地栽培)(大崎市)(2012/4/20から制限)
宮城県の原木しいたけ(露地栽培)(登米市、東松島市)(2012/4/25から制限)
宮城県の原木しいたけ(露地栽培)(仙台市、名取市、加美町)(2012/4/27から制限)
宮城県の原木しいたけ(露地栽培)(川崎町、大和町、富谷町)(2012/5/7から制限)
宮城県の原木しいたけ(露地栽培)(色麻町)(2012/5/9から制限)
宮城県の原木しいたけ(露地栽培)(七ヶ宿町)(2012/5/10から制限)
宮城県のたけのこ(白石市、丸森町)(2012/5/1から制限)
宮城県のくさそてつ(加美町)(2012/5/2から制限)
宮城県のくさそてつ(気仙沼市)(2012/5/9から制限)
宮城県のこしあぶら(登米市、栗原市)(2012/5/7から制限)
宮城県のこしあぶら(大崎市、南三陸町)(2012/5/9から制限)
宮城県のこしあぶら(気仙沼市、七ヶ宿町)(2012/5/12から制限)
宮城県のぜんまい(気仙沼市、丸森町)(2012/5/12から制限)
宮城県のぜんまい(大崎市)(2012/5/17から制限)
宮城県のスズキ(仙台湾)(2012/4/12から制限)
宮城県沖のマダラ(2012/5/2から制限)
宮城県のヒガンフグ(仙台湾)(2012/5/8から制限)
宮城県阿武隈川のヤマメ(養殖を除く)(支流を含む。ただし、七ヶ宿ダムの上流を除く。)(2012/4/20から制限)
宮城県阿武隈川のウグイ(支流を含む。ただし、七ヶ宿ダムの上流を除く。)(2012/4/20から制限)
宮城県のイワナ(養殖を除く)(大倉川の大倉ダムより上流(支流を含む。)及び名取川の秋保大滝の上流(支流を含む。))(2012/5/14から制限)

<神奈川県>
神奈川県の茶(湯河原町)(2011/6/2から制限)
神奈川県の茶(相模原市、松田町、山北町)(2011/6/23から制限)(松田町、山北町は2011/9/12解除)(相模原市は2011/10/26解除)★
神奈川県の茶(中井町)(2011/6/27から制限、2011/10/26解除)★
神奈川県の茶(南足柄市)(2011/6/2から制限、2011/8/29解除)
神奈川県の茶(愛川町、清川村)(2011/6/2から制限、2011/10/14解除)
神奈川県の茶(小田原市)(2011/6/2から制限、2011/11/1解除)
神奈川県の茶(真鶴町)(2011/6/2から制限、2011/11/10解除)

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2011年6月24日 (金)

福島県会津地方の土壌放射能地図

福島県下の農地の土壌放射能地図を描いた後、ご覧いただいた柳澤さまから会津坂下町と会津美里町で農地の土壌放射能の独自調査が行われ、結果が公表されていることをコメントでご教示いただきました。そこで前回の地図に載せることができなかった県による調査結果とあわせて、福島県の西半分を占める会津地方の農地の土壌放射能地図を追加作成しようと決めて準備していたのですが、準備中に福島県下の土壌中の放射性ストロンチウムの測定結果が公表され、こちらの地図化を優先したため完成が遅れました。ここにお詫びとともに公開させていただきます。地元の事情に通じた方の目から見落としや思違いなどご指摘いただければ幸いに存じます。

使用データは以下の通りです。
元データ1(福島県農林水産部):国の協力を得て行った農用地土壌中の放射性物質の調査結果について(平成23年4月8日公表分7カ所、試料採取日3月29日・4月1日)
元データ2(福島県農林水産部):水田土壌中の放射性物質の調査結果について(平成23年5月10日公表分3カ所、試料採取日記載なし)
元データ3(会津坂下町独自調査):会津坂下町の農地における放射性物質の測定結果
(15カ所、試料採取日4月12日)
元データ4(会津美里町独自調査):農用地土壌中の放射性物質の測定結果について(6カ所、試料採取日4月18日・28日)
注:福島県は東から順に浜通り(阿武隈高地と太平洋の間)、中通り(奥羽山脈と阿武隈高地の間)、会津(奥羽山脈の西側)の3つの地域に分かれますが、元データ1の調査対象(喜多方市→会津坂下町→会津若松市→会津美里町)は会津地域の中心地である会津盆地を北の端から南の端まで順にカバーするよう選ばれています。元データ1の調査対象のうち、会津盆地の西寄りに位置する2つの町がその後行った独自調査結果が元データ3と4です。元データ2は積雪のため4月中に調査できなかった西部地域を雪解け後の5月に追加調査した結果で、これにより会津地域全市町村から少なくとも1カ所の土壌中セシウム量の測定値が揃ったことになります。
注2:元データ4を公表している会津美里町のホームページには、「福島県並びに福島県が農林水産省の協力を得て行なった町内の水田土壌における放射性物質の測定結果」として次の2つの測定値が同時に公開されています。どちらも水田の測定結果で数値は左からセシウム134, セシウム137、合計の順。単位はいずれもBq/kgで土の乾燥重量あたりです。
64, 73, 137(3月31日採取)
312, 348, 660(4月1日採取)
3月31日の分は福島県農林水産部が4月6日付けで「会津美里町藤家舘村」の分として公表済みで前回の地図に掲載。4月1日の分が元データ1に記載され、今回新しく地図化した分です。これまで福島県農林水産部が公表した測定値はどれも測定点の所在地が字(あざ)まできちんと記載されているのに、農林水産省がかかわった元データ1だけが所在地の記載を市町村名で止めているのは地図描き人として腹立たしい限りです。

地図化に必要な緯度経度情報の取得はすべて、高橋登史朗さん(@toshirot)のGoogleを利用した住所→緯度経度取得ページを利用させていただきました。元データ1と2では測定点の所在地が市町村名までしか記載されていないため、緯度経度情報を取得させると市町村役場の所在地の緯度経度が表示され、やむなくこれで代用しました。元データ4では、測定点の所在地が「高田」「本郷」「新鶴」とだけ書いてありましたが、会津美里町は会津高田町、会津本郷町、新鶴村の旧3町村が合併してできた町で、旧町村役場が今も分庁舎として使われていることを会津美里町ホームページで確認しましたので、それぞれの測定点の所在地は3つの分庁舎
会津美里町高田庁舎:福島県大沼郡会津美里町字宮北3163
会津美里町本郷庁舎:福島県大沼郡会津美里町字北川原41
会津美里町新鶴庁舎:福島県大沼郡会津美里町鶴野辺字広町740
と同じ字(あざ)の範囲内だと想定して緯度経度情報を取得しています。

今回は同じ1組の測定結果をもとに地図を全部で3枚作りました。
福島県会津地方の土壌放射能地図1は前回の福島県下の農地の土壌放射能地図(県下全域を対象、データ公表日別に3枚作成)と同じく地表から15 5 cmまでの表層土中の放射性セシウム量(Cs-134とCs-137の合計)を土の乾燥重量1 kgあたりで表示し、測定値の大小によるピンの色分けも前回と全く同じにしてあります。
福島県会津地方の土壌放射能地図2は、地表から15 5 cmまでの表層土中の放射性セシウム量(Cs-134とCs-137の合計)を土の乾燥重量1 kgあたりで表示し、独自調査が行われた町の中の測定値の違いを見やすくするため、ピンの色分けの目盛りのみ変更しています。どちらの地図でも、町による独自調査の測定点にはピンの頭に黒点を入れてあります。
さらに参考のため、前回の地図に掲載済みの会津地域の市町村(測定値はいずれも1000 Bq/kg未満)
4月6日公表分:会津若松市(北会津町小松)、磐梯町、喜多方市(熱塩加納町、慶徳町)、北塩原村、西会津町、会津坂下町(五ノ併)、湯川村、会津美里町(藤家舘村)、柳津町
4月12日公表分:会津若松市(湊町)、猪苗代町、会津坂下町(見明)、南会津町、下郷町、只見町
4月22日公表分(いわき市の水田1カ所以外すべて畑の調査結果):会津坂下町(大字中泉、見明)、桧枝岐村
のデータを追加した福島県会津地方の土壌放射能地図3も描いてみました。地表から15 5 cmまでの表層土中の放射性セシウム量(Cs-134とCs-137の合計)を土の乾燥重量1 kgあたりで表示し、ピンの色分けの目盛りは「福島県会津地方の土壌放射能地図2」と同じです。

[2011.8.27追記]
農林水産省の指示で行われた農地の土壌放射線調査では、文部科学省の調査と異なり1 kgの土壌試料を深さ5 cmではなく15 cmまで掘って採取していたことを下記資料(Q58の回答)により確認しましたので、地図の説明を訂正しました。
「がんばろうふくしま!」農業技術情報(第2号)原子力災害に関する農作物の技術対策Q&A


奥羽山脈の西側にある会津地域の土壌中の放射性セシウム量測定値は、奥羽山脈の東側(浜通り、中通り)と比べてずっと低く、喜多方市内の1カ所(1977 Bq/kg)を除いて1000 Bq/kgを超える測定点はありません。従ってイネの作付け制限基準である5000 Bq/kgを超える地域は奥羽山脈の西側からは1カ所も出ていないことになります。
注:奥羽山脈の西側の放射線測定値が東側に比べてはるかに低い傾向は、京都大学原子炉実験所グループが開発した走行サーベイシステムKURAMA(*)による福島県下の空間線量率測定結果(5月9日〜5月22日測定)からも読み取れます。1枚目の地図の中央にある猪苗代湖から南向きに走っている黒い線が郡山市と会津若松市の境界線で、この線を南側に延長したものが奥羽山脈の南方向の稜線にほぼ一致します。猪苗代湖からほぼ東向きに走る短い黒い線は猪苗代町と郡山市の境界線で、この線がやがて北向きに曲がったあとをそのまま北へたどり続けると奥羽山脈の北方向の稜線にほぼ一致します。
*)測定装置を自動車に積み込み、道路を走りながら空間線量率(空気中で測定した放射線の強さ)を測定し、同時に位置情報も記録して地図に表示。自動車が入れないところはどうしても測定から漏れてしまう欠点がありますが、移動しながら短い時間に広い範囲を測定することができる上、道路沿いであれば非常にきめ細かな測定ができるため、未知のホットスポットの検出にも威力を発揮すると期待されています。

2011年3月19日〜3月22日、福島県下の原乳(ウシから搾ったままの牛乳をこういいます)の放射能汚染が一番激しかった時期の測定値をまとめた牛乳の放射線地図(@satoru.netの矢野様、ありがとうございました)では、奥羽山脈の西側から検出された放射能の測定値は3月19日に喜多方市内で採取した原乳のヨウ素131=96 Bq/Lが最高で、セシウム134とセシウム137は一貫して不検出でした。その後、3月28日以降週1回の検査が続けられた際も、会津地域の原乳は3月28日に喜多方市内で採取した原乳からヨウ素131=10 Bq/Lを検出した時を除いて一貫してヨウ素、セシウムとも不検出が続き、4月8日には会津地域で酪農が行われている7つの市と町(喜多方市、磐梯町、猪苗代町、三島町、会津美里町、下郷町、南会津町)(**)について原乳の出荷制限が解除されました。現在もヨウ素、セシウムとも不検出が続いています(茨城県の酪農家@sdfmanさんのつぶやき 福島&茨城産牛乳がND(不検出)な理由)。食品流通構造改善促進機構がボランティアで公開しているデータベース「食品の放射能検査データ」(ローマ字の"yasaikensa"でググればトップに出てきます)で「検索」ボタンを押して条件指定ページに移動し「産地=福島県、品目=乳、採取日=すべて、公表日=すべて」と指定して「検索」ボタンを押せば、最初の1回から最新まですべてのデータを日付順に見ることができます。このデータベースは6月に入って大幅にパワーアップされ、「地図上で分布を見る」ボタンを押すと測定値が地図上に表示され、地図上の点をクリックすると産地ごとの時間変化のグラフが出てくるようになりました。5月の連休あけから稼働中の「出荷制限のあった地域と品目」のページとあわせて、産地ごとの実際の測定値の確認、特に出荷制限がかかって解除された産地の追跡調査にぜひご利用ください。
**)磐梯町と猪苗代町は猪苗代湖の北側、喜多方市と会津美里町は会津盆地の南と北の端にあたります。下郷町は会津若松市の南隣、南会津町は下郷町の南隣でどちらも奥羽山脈の西側の山腹にあります。三島町を除いて、いずれも会津地域の東半分に位置しています。

会津地域内で土壌放射能の最高値が出たのも、原乳の放射線測定値が最高を記録したのもどちらも喜多方市内という結果は、喜多方市の地形の特徴を考えれば理解できます。喜多方市は会津盆地の北の端に位置し、南側を除く三方を山に囲まれています(ちょっと京都に似ているかも)。奥羽山脈の稜線を東から西に越えて流れ込んできた放射性物質がそのあとどのように移動したにしても、平地と山裾の境目や山腹の傾斜地は吹きだまりになりやすい傾向が福島県下福島県外の農地の土壌放射線地図からうかがえます。元データ1で報告されている喜多方市内2カ所の農地(測定点の正確な位置は記載なし)の放射性セシウム総量の測定値(553 Bq/kgと1977Bq/kg)は前回地図化済みの2カ所(熱塩加納町加納139 Bq/kg、慶徳町新宮208 Bq/kg)よりもはるかに高く、地域内の測定点間の変動は独自調査が行われた会津坂下町(4月6日公表の県の調査で868 Bq/kgを記録。独自調査では最大720 Bq/kg、最小50 Bq/kg以下。この50が定量限界値だったか検出限界値だったか記載がありませんが、検出限界値が50 Bq/kg以下だったとすればちょっとずさん)や会津美里町(最大値950 Bq/kg、最小値50 Bq/kg)より大きいので、測定点を増やして独自調査をすべきはむしろ喜多方市ではなかろうかという気がします。

雪解け後に追加調査が行われた会津地方西部の3カ所の測定点(三島町、金山町、昭和町)はいずれも山の間を流れる川の岸に沿った平地にありますが、そのうち最高の測定値(628 Bq/kg)を記録した昭和町の測定点では、この平地の幅が3カ所のうち一番狭く、川岸の近くまで山が迫っていることがGoogle Mapの表示を航空写真に切り替えて拡大表示するとよくわかります。狭い谷間は、空気の流れに乗って入り込んだ放射性物質の吹きだまりができやすい場所だったと考えられます。

現在、文部科学省が土壌汚染マップの作成を目指して福島原発から80 kmの範囲は2 km四方、80 kmから100 kmの範囲は10 km四方に1カ所の測定点を設定し、福島県下と周辺地域約2200カ所で土壌試料の採取と放射線測定を進めていますが(対象地域とメッシュ設定はこの資料の5ページ目)「実際には50 m離れただけで乾土1 kg当たりのセシウムの量が10倍以上も異なる地域があるから、2 kmメッシュでは目があらすぎる」「起伏のある地域ほどきめ細かく土壌調査をする必要がありそう」という現場の意見も(こちらこちら。ここで出てくる「文部省の土壌汚染マップ」とは文部科学省が米国エネルギー省(DOE)と共同実施した航空機計測結果に基づくこの地図(資料の2ページ目)のことです)。
注:総じて文部科学省は奥羽山脈の西側についてはなぜか放射線調査の測定点を設けたがらず、学校、幼稚園、保育園のグラウンドの測定すらやっていませんでした。今回の土壌調査は文部科学省による奥羽山脈の西側のはじめての調査になりますが、10 km四方に測定点1個は誰の目にも少ない。
注2:新聞が奥羽山脈の西側の会津若松市を含めた福島県下全域をカバーする放射線地図(一番始めのころは確かいわき市すら出ていなかった)を掲載するようになったのはようやく3月の末になってからだったように記憶していますが、それ以前はもっぱら文部科学省が公開するこういう感じの放射線地図をほとんどそのまま載せているばかりでした。震災発生以後の奥羽山脈の西側の状況、とりわけ東側との大きな違いが今に至るも全国レベルに十分伝わっていない原因の源の1つがこの地図の印象にあるのではないかと個人的には考えています。

会津地域は大気と土壌中の放射性物質の影響については奥羽山脈の東側と比べて少なくてすんでいる一方で、人による水質管理の手が全く入っていない川や湖(淡水)の受けた影響となると必ずしも小さいとは言えないことが@Kontan_BigCatさんの淡水魚・淡水水産物中のセシウムの放射能濃度地図を見るとよくわかります。特に磐梯山の北側の裏磐梯高原の湖の魚で高濃度のセシウムが検出されているのが目立ちます。檜原湖、小野川湖、秋元湖は1888年(明治21年)の磐梯山の噴火の時、山体崩壊により麓を流れていたいくつかの川が土砂でせき止められて出来た湖で、流れ込む川はあっても(秋元湖を除いて)流れ出す川がないため、上空から降った放射性物質が湖の水の中にとどまったままになっているのです。チェルノブイリ事故後の魚類への影響は、事故現場から遠く離れた海の魚よりもむしろ流れ出す川のない湖の魚で大きかったことがIAEAによる事故報告書に書かれています(三重大学・勝川俊雄先生のブログ記事「チェルノブイリ事故の魚類への影響」)。淡水魚は海産魚よりも栄養塩をため込みやすい性質を持っているため、カリウムと性質の似たセシウムを体内に取り込みやすいことも要注意です(勝川先生のブログ記事「水産物の放射性セシウム汚染の地理的な広がり」の後半)。基本的に川や湖で釣った魚は食べないこと。現在檜原湖、小野川湖、秋元湖の3つの湖とこれに流れ込む川に加え、(秋元湖から南に流れ出して猪苗代湖に注ぐ)長瀬川の上流で採れたヤマメ(養殖を除く)が6月17日付けで出荷停止になっており、これが6月23日現在で会津地方にかけられた唯一の出荷制限になっています。

淡水魚のセシウムの放射能濃度地図でもう1つ注目されるのは、南会津から喜多方まで会津盆地を南北に流れている阿賀川の魚の放射性セシウム量が、上流よりも中流域の会津若松市内で高くなっていることです。@nnistarさんの国・自治体による高さ1 m・0.5m計測を中心とした放射線量マップ(この地図の福島県会津地方のデータは福島県による学校、幼稚園、保育所のグラウンドの空間線量率測定値(高さ1 m、6/1-10測定分))でみると、会津盆地の測定値は会津地方の他の場所と比べてやや高めになっているので、大気中から川の水の中に落ちた放射性セシウムの量がその分多かったこと(水中に落ちた放射性セシウムは川底の砂の中の雲母に固く結合して足止めされている)がうかがえます。

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2011年6月11日 (土)

福島県下の土壌中の放射性ストロンチウムの測定結果

福島県下の農地の土壌放射能地図
を描きながらずっと気がかりだったのは、放射性セシウムといっしょに必ず存在するはずの放射性ストロンチウムが今回の原発事故ではどのくらいたくさん放出されていたのかということでした。放射性ストロンチウムの測定結果は4月中旬に土壌3サンプルと植物(葉もの野菜)4サンプルの分が公表されて以来ずっと発表がありませんでしたが、6月8日付けで福島県下11カ所の土壌からストロンチウム検出
と新聞で報じられたことから、これまで公表された土壌中のストロンチウムの測定値をこの機会に全部集めて1枚の地図にまとめてみました。
こちらです

使用データは以下のとおりです。
元データ1:東京電力株式会社福島第1原子力発電所の事故に係る陸土及び植物の放射性ストロンチウム分析結果
(平成23年4月12日公表分3カ所、試料採取日3月16日〜3月17日)
元データ2:土壌モニタリングの測定結果(平成23年5月31日までの測定結果)
(平成23年6月9日公表分8カ所、試料採取日4月10日〜5月6日。5月10日以降採取の試料については測定の結果いずれも「不検出」判定。それ以前の採取分については順次確認中)
元データ3:環境試料の測定結果(平成23年5月31日までの測定結果)
(平成23年6月9日公表分3カ所、試料採取日3月21日〜4月3日。掲載の陸水、雑草、陸土試料は5月7日以降採取分について測定の結果いずれも「不検出」判定。それ以前の採取分については順次確認中)
[2011.9.1追記]
元データファイル3件のリンク切れを修正しました。現在環境試料については5月31日まで採取分の全検体の分析結果が掲載されており、放射性ストロンチウムの新たな検出はありません。土壌サンプリング結果については追加掲載はありません。その後6月1日〜8月31日に得られた測定結果のまとめファイルがこちらのページに公開されていますが、こちらでも放射性ストロンチウムの新たな検出はありません。

注:文部科学省の公表する測定結果一覧表で「131I」「137Cs」などと放射性核種の名前がはじめからついている欄に書いてあるのはγ線の測定だけで検出できるもの、「その他検出された核種」という欄に書いてあるのはγ線測定では検出できず、改めてβ線(あるいはα線)の測定を行ってはじめて検出できるものです。放射性ストロンチウムは検出にβ線測定が必要な放射性物質の代表です。

新聞発表とNHK科学文化部ブログの紹介記事を見ただけではよもや新公開の11カ所分のデータが2つのファイル(元データ2と3)に分けて公開されていようとは夢にも思わず、1時間近く振り回されるはめに。@Kontan_Bigcatさん、ご教示ありがとうございました。

地図表示に必要な測定点の緯度経度情報は以下のものを使用しました。
緯度経度情報1:陸上の測定ポイントの緯度経度等位置に関する情報
(平成23年6月3日公表。モニタリングカーによる空間線量率の測定点の緯度経度情報。20 km以遠の分。リンク移動後赤字箇所に修正あり)
緯度経度情報2:土壌モニタリングの測定結果(平成23年6月9日10時00分現在)
[2011.9.1.追記]
緯度経度情報1のリンク切れを修正しました。緯度経度情報2は下記のまとめファイルに移動されていました。
土壌モニタリングの測定結果(平成23年6月1日~平成23年8月31日までの測定結果)

文部科学省による土壌モニタリングでは、土壌試料の採取と平行してモニタリングカーを使った空間線量率測定が行われており、測定結果一覧表の備考欄には土壌採取位置に一番近い空間線量率の測定点の番号が記載されています(土壌試料の採取場所の番号は空間線量率の測定点の番号と違ってハイフンが入っているので区別できます)。元データ2の場合は備考欄の測定点番号に対応する緯度経度を「緯度経度情報1」から読み取って地図化に使用しました。
これに対し、環境試料の測定結果には空間線量率の測定点番号が併記されていません。元データ3の3カ所のうち、たまたま1カ所(南相馬市原町区高見町)だけは「緯度経度情報2」で測定結果が報告されていたため「緯度経度情報1」で緯度経度を確認できましたが、残り2カ所は高橋登史朗さん(@toshirot)のGoogleを利用した住所→緯度経度取得ページを利用させていただきました。
注:地図化に先立って緯度経度情報1を利用したあと、誤って下記の3カ所の土壌採取地点の所在地を空間線量率の測定点の所在地で置き換えてしまいました。従って以下の土壌採取地点の所在地の地図上の表記(右側)は元データファイル(左側)と異なります。
田村市常葉町山根→田村市常葉町山根鹿島
双葉郡広野町下北迫→双葉郡広野町下北迫苗代替
伊達郡川俣町山木屋→伊達郡川俣町山木屋大洪

今回の地図には、地表から5 cmまでの表層土中のストロンチウム90(Sr-90)量を土の重量1 kgあたりで表示しています。最も早い時期に試料採取が行われた元データ1の3カ所分(試料採取日3月16日〜3月17日)だけは、土の湿重量あたりの測定値であることが明記されていますが、元データ2と3には湿重量、乾燥重量いずれで計算したか記載はありません。しかし他の固形試料の測定結果(ウラン、プルトニウムを含む)でわざわざ湿重量あたりと明記した報告は見当たらず、湿重量ベースで測定が行われたのは後にも先にも元データ1だけだった可能性が考えられます。従って、元データ2と3の測定値は乾燥重量ベースと見て差し支えないでしょう。
注:「放射性ストロンチウム分析法」(写真付きの分析手順解説はこちら。画面左のリンクを上から下へと順番にクリックして下さい。データが出るまでに時間がかかる理由をおわかりいただけると思います)によれば、土壌中のストロンチウム分析の出発試料は「乾燥細土」とされています。つまりどのみち試料を一旦乾燥してからでないと測定できないのです。採取した土壌試料から植物の根、小石などを除いて一昼夜乾燥(105~110℃)したものが「乾土」、これをさらに乳鉢で細かく砕き、2 mmメッシュのふるいを通したものが「乾燥細土」(詳しくはこちら)。乾土になった段階で重量(乾土重量)を測定し、これを乾燥開始直前に測定しておいた湿重量で割れば乾土率を計算でき、乾土率が出れば湿重量あたりの測定結果を乾燥重量あたりに換算することができるのですけれど(「緊急時におけるγ線スペクトル解析法」 p.9)、元データ1をとったときだけ乾燥前後の重量測定を忘れたのでしょうか?

地図に表示した測定地点14カ所のすべてから放射性ストロンチウム(Sr−89とSr-90)が検出されました(半減期はSr−89が約50日、Sr-90が約28.9年)。
ピンの頭に黒丸が入っているのは、イネの作付け制限指示地域内の測定点です(確認はこちらこちらで行いました)。作付け制限指示地域外は14カ所中3カ所(福島市、二本松市、南相馬市原町区大原台畑)で、いずれも4月中に試料採取が行われたところです。確認中の試料(5月9日以前に採取した土壌試料と、5月6日以前に採取した環境試料)の測定結果がこれから出てくれば、どの程度の距離までストロンチウムが飛散したかわかってくるでしょう。文部科学省は奥羽山脈の西側にはこれまで全くと言っていいほど測定点を設けたことがありませんが、飛散範囲を突き止める上で奥羽山脈の西側からイネの作付け制限判断のために採取された土壌試料の再分析は必須。あるいは現在全国から集まった研究者が進めている県下全域プラス隣接県2400カ所の土壌調査でも、ストロンチウムをきちんと見るべし。また食品中のストロンチウム、特に魚のストロンチウムの分析が今後のもうひとつの重点課題。

測定値の範囲は最小値1.3 Bq/kg(川内村)、最大値250 Bq/kg(浪江町赤宇木椚平)で、2ケタ以上の測定値が出た4カ所はいずれもイネの作付け制限指示地域内でした(浪江町、飯舘村、川俣町)。「放射性ストロンチウム分析法」のp.102にある「付録3 環境試料中のストロンチウム90 濃度」という表には、平成13年度(2001年4月〜2002年3月)に日本各地で採取された環境試料中のストロンチウム90の測定値がまとめられていますが、今回と同じ深さ5 cmまでの土壌中の測定値は平均が2.1 Bq/kg乾土(48検体分、範囲は0.020 ~ 9.2 Bq/kg乾土、「範囲の最小値には不検出の値も含まれる」との但し書きから不検出判定の場合の検出限界値を最小値として扱ったことがわかる)となっていますので、今回の測定値が1 - 2 Bq/kg程度のところは「あることは確かだが量は多くない」というレベルといえるでしょう。

原子力事故後の放射性ストロンチウムの分析で一番注目を集めるのは、一緒に放出される放射性セシウム、とくにセシウムの同位体の中で半減期が一番長い(約30年)セシウム137(Cs-137)との比率です。各測定地点のSr-90とCs-137の割合は、最大値が0.14%(浪江町津島、試料採取日3月17日)、最小値が0.01%(葛尾村、試料採取日5月3日)、14地点の平均値は0.047%となりました。1986年4月のチェルノブイリ事故後のSr-90/Cs-137比が約10%だったのと比べるとはるかに小さな数字です。
【2011.6.14追記】
東京電力が2011.6.12付けで発表した福島第一原発付近の海水中の放射性同位元素分析結果
いずれも試料採取日は5/16。海水中のSr-90/Cs-137比は土壌中(3/15に大気中に大量放出された後雨とともに地上に落ちてきた分が大部分と考えられる)よりはるかに高く、チェルノブイリ事故後の比を超える測定点もあります(測定値はいずれもBq/L単位)。
1-4号機取水口内北側:1600/17000→9.41%
2号機スクリーン海水(シルトフェンス内側):5100/19000→26.8%
3号機スクリーン海水(シルトフェンス内側):7300/66000→11.0%
監視継続とともに沖合でも測定が必要でしょう。放射性ストロンチウムの水産物への影響については、三重大・勝川先生の解説をぜひご覧下さい。

(付記1)日本国内で食品中の放射性セシウムの規制が初めて実際に行われたのは、チェルノブイリ事故後に(ヨーロッパからの)輸入食品を規制するため放射性セシウム総量(セシウム134とセシウム137の合計)の上限を全食品一律370 Bq/kgと決めたときですが、このとき(実測が難しい)ストロンチウムには独自の規制値を設けず、チェルノブイリ事故後に測定された比率をもとにセシウム137には常にその10%の量のストロンチウム90が共存すると仮定し、放射性ストロンチウムの影響を放射性セシウムの影響に含めて規制する形で規制上限値が決められました。この考え方は、原子力安全委員会の指針「原子力発電所等周辺の防災対策について」の中の「飲食物摂取制限の指標」の項が1998年11月に改訂され(*)、放射性セシウムの摂取制限指標が新しく設けられたときもそのまま引き継がれています。この「飲食物摂取制限の指標」が、食品衛生法上の暫定規制値として平成23年3月17日以降現在に至るまで使われているわけです。
*)このときのいきさつと、摂取制限の指標の設定根拠が次の論文にまとめられており、無料で読むことができます。
須賀新一, 市川龍資. 防災指針における飲食物摂取制限指標の改定について. 保健物理 35(4), 449~466(2000)
ただこの1998年の改訂のとき、放射性セシウムの摂取制限指標の制定にあたった人たちは、輸入食品については1986年以降放射性セシウムの規制基準値がすでに存在し、国内で適用されていたことをご存じなかったようで、上の論文には輸入食品のセシウム規制基準の話は全く出てきません。私ならそういう基準の存在を知ったら当然見比べますけれど、(当時の)厚生省の決めた食品の基準なんて我関せずという了見が通っていたとすれば、縦割りもここに極まれリです。

(付記2)食品中の放射性ストロンチウムをセシウムと抱き合わせにせず、独自基準で規制している国もあります。
米国FDAの輸入食品用基準(Sr-90用):160 Bq/kg
欧州原子力共同体(EURATOM)の原子力事故後の食品中許容限度(Sr-90用、ただし平常時用ではなくあくまで緊急時用の基準):乳幼児用食品 75 Bq/kg、乳製品と液体食品(飲用水を含む)125 Bq/kg、その他の食品750 Bq/kg

(付記3)
生物の体の中でのストロンチウムがカルシウムと似た振る舞いをすることはよく知られ、カルシウムと入れ替わって骨に蓄積されβ線を放出する内部被曝源として恐れられていますが、土壌中のふるまいについて、日本土壌肥料学会がまとめを出しています。放射性セシウムが土壌中の粘土鉱物である雲母と結合して足止めされ、地表から下に向かってなかなか移動しない(詳しくはこちら)のに対し、放射性ストロンチウムは土壌中に足止めする物質がないので水に溶けて下へと広がりやすいという違いがあります。知っておくとよいことは、ストロンチウムの分布(セシウムと似ている)がイネの中では部分ごとに大きく違うことです。米として食べられる部分(可食部)を1とするとヌカで29倍、モミガラで24倍、ワラで100倍となります。玄米を精米して白米にすると、ストロンチウムの量を0.5%/2.3% = 0.21、つまり約1/5に減らすことができるのです。またキャベツの場合、「玉」を作らない外側の葉と内側の巻いて「玉」になった部分でストロンチウムの存在量を比べると、外側91対内側9という報告もあります。外側の葉を捨てて中を食べればいいことになります。ただし、捨てた外側の葉をウサギにやるのはやめたほうがいいでしょう。

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2011年5月21日 (土)

福島県外の農地の土壌放射能地図

先日の福島県下の農地の土壌放射能地図に引き続き、福島県外の農地の土壌放射線地図を描いてみました。
(こちら)

5月15日現在で都県ホームページにデータが公開されていることを確認できた、東北2県(山形、宮城)と東京都を除く関東6県(茨城、群馬、栃木、埼玉、千葉、神奈川)のデータをプロットしました。その後5月20日に存在を確認した北海道のデータ(4月と5月の2回測定)も参考として追加してあります。県名をクリックすると元データにジャンプします。
北海道:4月28日公表分7カ所(いずれも農業試験場内、所在地はこちら
北海道:5月16日公開分7カ所(同地点の再測定)
山形県:5月6日公表分6カ所
宮城県:4月8日公表分14カ所
茨城県:4月8日公表分18カ所
群馬県:4月8日公表分8カ所
栃木県:4月8日公表分14カ所
埼玉県:4月8日公表分4カ所
千葉県:4月8日公表分10カ所
神奈川県:4月8日公表分5カ所(いずれも県立の農業研究施設内、所在地はこちら

茨城県は測定地点を表示した 地図を公開しているものの、所在地は市町村名までしか公開していません。従って今回作成した地図上の測定点の位置は実態とは必ずしも合っていない可能性があります。
新潟県からは5地点の測定値が報告されているものの、測定地点が「上越」 「中越」「下越」としか記載されていないため地図化を断念せざるを得ませんでした.

図の縦軸は福島と同じく、地表から15 5 cmまでの表層土中の放射性セシウム量(Cs-134とCs-137の合計)で、単位はBq/kg(乾燥重量当たり)ですが、測定値は福島県内とくらべてずっと低く、2000 Bq/kg以上はありませんでした。従って、イネの作付け制限基準5000 Bq/kgを超える測定点はありません。

[2011.8.27追記]
農林水産省の指示で行われた農地の土壌放射線調査では、文部科学省の調査と異なり1 kgの土壌試料を深さ5 cmではなく15 cmまで掘って採取していたことを下記資料(Q58の回答)により確認しましたので、地図の説明を訂正しました。
「がんばろうふくしま!」農業技術情報(第2号)原子力災害に関する農作物の技術対策Q&A

注:北海道では半減期が約2年とCs-137より短いCs-134を測っておらず、代わりにヨウ素131(半減期約8日)を測定して7カ所とも不検出。北海道だけが過去3年間(平成19年〜平成21年すなわち2007-2009年)の農地土壌(札幌市と江別市)のCs-137測定値の範囲を14-19 Bq/kgと報告。平常時の日本の農地土壌中のCs-137量の目安はこの程度と考えてよいでしょう。今回報告された測定値はいずれもこれを下回りましたが、これはおそらく雪解けからまだ間もないため、大気中から落下する放射性物質が地表にあまりたまっていないからと考えられます。

福島県浜通りと中通りの北端に位置する相馬市、伊達市に隣接している宮城県南東部、また福島県中通り南部に隣接する栃木県北部の測定値が高いのが目立ちます。また関東地方でも、平野の端の山麓近くや山腹で値が大きくなっている傾向が見て取れます。Google Mapsの表示を「地図」から「地形」に切り替えると地形との関係がとてもよくわかります。

福島県下の農地の土壌放射能地図を描いたとき、イネの作付け制限基準の決め方を参考にしてホウレンソウの作付け制限基準をイネの10倍厳しい500 Bq/kgと想定しました(ホウレンソウは葉もの野菜の中でもセシウムを特に吸収しやすいとされています)。
(2011年5月24日訂正:当初カッコ内には「ホウレンソウはアブラナ科の葉もの野菜の中でもセシウムを特に吸収しやすい」と書きましたが、実際にはアカザ科ですのでこれは事実に反する記述でした。コメントでご指摘くださったMokichiさん、どうも有難うございました。お詫びして訂正させていただきます。なおアブラナ科の野菜は葉を食べる葉もの、花を食べる花野菜ともセシウムを吸収しやすい作物として知られています)
注:この作付け制限基準はあくまで現行の食品中の放射性物質の暫定規制値(水と原乳を除く固体食品の場合放射性ヨウ素2000 Bq/kg、放射性セシウム500 Bq/kg)を前提として決めたもので、たとえば子ども用には規制値を1/10の50 Bq/kgに引き下げることにすると、対応する作付け制限基準も大人用の1/10の50 Bq/kgということになります。

福島県以外でホウレンソウを始めとする葉もの野菜の出荷制限が早くからかかっていた地域(食品流通構造改善促進機構の「食品の放射能検査データ」 のページで調べられます)を見てみると、実際には
茨城県北茨城市:308 Bq/kg
茨城県日立大宮市:92 Bq/kg
栃木県上三川町:275 Bq/kg
栃木県宇都宮市:115 Bq/kg
群馬県伊勢崎市:109 Bq/kg
千葉県旭市:70 Bq/kg
など土壌中のセシウム量が案外少ないところが結構多いことがわかります。ピンの頭に黒点を入れてあるのが、5月20日現在で暫定規制値超えの農産物(野菜、茶の生葉と原乳)が検出されたことのある地域内の測定点です。
もっとも、福島県外の測定点の密度は福島県下と比べて圧倒的に低く、また規制値越えの植物と生えていた土壌を同時に採取して測定値を比較対照しているわけではないことを考えると、想定した作付け制限基準と農産物の実測結果との対応がもう1つという感じがするのはしかたがありません。同じ自治体内でも測定点の場所が違えば測定値は変化します。特に北関東と宮城県南部でよりきめ細かな土壌放射線調査が必要でしょう。

なお、農地の土壌放射線地図は農家だけに関係があるものではありません。
3月22日時点で原子力安全委員会は、福島原発から20-30 km圏内の屋内退避指示区域内と区域外でも農産物の出荷制限がかかった地域(こちらで確認できます)では、家庭菜園の葉もの野菜を食べないよう呼びかけていましたが(詳しくはこの記事)、小金井市在住の方が茨城県下の自家菜園で収穫したブロッコリー(アブラナ科の花野菜)を市民団体「小金井市放射能測定器運営連絡協議会」が4月8日に検査したところ、暫定規制値を超える放射性セシウムが検出されていたことが5月12日付けで公表されました(情報源のツイート検査結果)。実もの野菜や根菜は土壌からの放射性セシウムの移行係数(土壌中の放射性セシウム量に対する作物中の放射性セシウム量の割合)がアブラナ科の葉もの野菜よりほぼ1ケタ小さく、この結果葉もの野菜よりは影響を受けにくいことがわかっていますが、油断は禁物です。首都圏で現在家庭菜園をお持ちの方、学校や幼稚園で運営する菜園や自治体の市民農園の担当者の方はご注意ください。とくに学校農園や市民農園の担当者の方はぜひ収穫した野菜か菜園の土壌のどちらかを一度放射線検査に出し、放射性セシウムの量を確認されることをおすすめします。

それにしても東京都は土壌の検査もせず、4月末に農林水産省から要請のあった牧草の放射線検査の結果も青梅市1カ所(5月19日公表、放射性ヨウ素、放射性セシウムとも不検出)しか報告していないとはどういうことでしょう?東京都内に農地は存在しないのでしょうか?

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2011年5月10日 (火)

福島県下の農地の土壌放射能地図

これまで福島とのつながりといえば、数年前にうちの近所のスーパーで一度だけなぜか南会津の牛乳が売られていたのを買って飲んだ以外になかったのですが、今回の大震災直後の福島をめぐる風評被害のあまりのひどさには神戸の地震を大阪で体験した者の一人として強い憤りを感じ、まず文部科学省と福島県が発表する空間線量率のデータを一人で読み始めました。そして測定値も減って行く速さも場所によって大きく違うことに驚きました。やがて奥羽山脈の東側で放射性ヨウ素の測定値が暫定規制値を超える牛乳が検出されて全県一律で牛乳の出荷停止がかけられ(その時期の福島県産の牛乳の放射線測定値の地図はこちら、描いてくださった@satoru.netの矢野様、どうもありがとうございました)、南会津の酪農家が(規制値をクリアしている)牛乳を毎日絞っては畑に捨てているテレビニュースを見たとき、あの甘くておいしかった南会津の牛乳の味がフラッシュバックし、いいようのない怒りにかられて、以後厚生労働省が発表する食品の放射線検査結果データを毎日チェックするようになりました。
農産物の安全性を判断するには、産地ごとに農地の土壌の状況を知る必要があります。そこで(放射線も物理学も専門ではありませんが)福島県下の農地の土壌放射能地図を描いてみました(どうやって描いたかはまた別の記事で説明します)。

福島県下の農地の土壌放射線の測定結果は4回に分けて公表されていますが、そのうち3回分を公表日別に3枚の地図に分けて表示しました。
「福島県下の農地の土壌放射能地図1」4月6日公開分70カ所(福島原発から30 km圏内を除く)
(4月6日公表分オリジナルデータ)

「福島県下の農地の土壌放射能地図2」4月12日公開分54カ所(再調査50カ所プラス福島原発から30 km圏内4カ所を含む)
(4月12日公表分オリジナルデータ)

「福島県下の農地の土壌放射能地図3」4月22日公開分34カ所
(4月22日公表分オリジナルデータ)

[2011.8.27追記]
農林水産省の指示で行われた農地の土壌放射線調査では、文部科学省の調査と異なり1 kgの土壌試料を深さ5 cmではなく15 cmまで掘って採取していたことを下記資料(Q58の回答)により確認しましたので、地図の説明を訂正しました。
「がんばろうふくしま!」農業技術情報(第2号)原子力災害に関する農作物の技術対策Q&A

[2011.11.1追記]
「福島県下の農地の土壌放射能地図2」のオリジナルデータへのリンクが間違っていましたので訂正しました。

参考:文部科学省が米国エネルギー省(DOE)と共同実施した航空機計測結果に基づく
土壌汚染地図の2ページ目に、上の3枚の地図と同じく土壌中の放射性セシウムの総量を表示した地図があります。空中からの計測結果は、土壌の実測結果とよく対応しています。

注:4月8日公表分は奥羽山脈の西側の2市2町の7カ所の農地の土壌放射線の測定結果ですが、1町を除いて複数の測定点が存在するにもかかわらず、測定点の住所が市名、町名までしか公表されていないため地図上で区別して表示ができず、今回は地図化を断念しました。またこの測定値に限って水田と畑地の区分の記載がありません。地図には載せませんが公平を期すため数値を紹介します(左からCs-134、Cs-137、両者の合計の順。単位は地図と同じ)。
会津坂下町:392, 359, 751
会津坂下町:125, 125, 250
会津若松市:240, 281, 521
会津若松市:376, 453, 829
喜多方市:947, 1030, 1977
喜多方市:265, 288, 553
会津美里町:312, 348, 660

福島県下では、イネの作付け制限基準が土壌乾燥重量あたりの放射性セシウムの総量(Cs-134とCs-137の合計)で5000 Bq/kg以上と設定されていますので(設定根拠はこちら)、上の3枚の地図でも放射線測定値は放射性セシウムの総量で表示しました。
注:食品衛生法による玄米における放射性セシウム総量の暫定規制値が500 Bq/kg(水と原乳以外の食品に一律に適用)。土壌中から玄米への放射性セシウムの移行係数(土壌中の放射性セシウム量に対する作物中の放射性セシウム量の割合)を0.1(実測値よりざっと1桁大きい)と想定し、これで玄米の暫定規制値を割ると、暫定規制値内の玄米を生産するには土壌中の放射性セシウム量がこれ以下でなければならない値として5000 Bq/kgが出てくる。移行係数の実測値の算出に使われた玄米中と土壌の中のCs-137の値の出典は示されていないが、おそらく次の論文から取ったもの。
駒村美佐子ら. 我が国の米、小麦および土壌におけるSr-90とCs-137濃度の長期モニタリングと変動解析. 農業環境技術研究所報告 24, 1-21 (2006).

以上の測定結果をもとに、作付け制限地域が4月22日付けで指示されました。
1)避難のための立退きを指示した区域(福島原発から20 km圏内)
2)緊急時避難準備区域(福島原発から20-30 km圏内で計画的避難区域外)
3)計画的避難区域(=福島原発から20 km圏外で放射線量が高い地域): 葛尾村、浪江町、飯舘村、川俣町山木屋、南相馬市原町区(具体的町名はPDFファイルに記載)
作付け制限地域内の測定点は、ピンの頭に黒点を入れてあります。最終的に避難指示または避難準備指示が出ているところが、いわき市内を除いて放射性物質の測定値に関わりなく作付け制限となったのに対し、奥羽山脈の東の麓の放射線量が高い地域(二本松から郡山まで)は測定値が作付け制限基準を下回ったことを根拠に作付け制限からはずされました。奥羽山脈の西側は、4月8日公表分の喜多方市の1測定点を除いてどこも1000 Bq/kg以下です(この地域からは、4月15日付けの地元新聞の新聞記事で報じられた4/13公表分の会津若松市と下郷町、会津坂下町産ホウレンソウを除いて、暫定基準値越えの農産物は出ていません。検出された放射性セシウムの測定値は2200, 530, 1520 Bq/kg。一週間後会津若松市168, 下郷町340という報告がありますが、同じ畑とは限らず、2回目の再検査結果も不明。5月8日現在出荷制限は未解除でしたが、ホウレンソウと玉を作らない葉もの野菜に全県一律でかかっていた出荷制限はその後会津・南会津地域については5月11日付けで解除されました。また全県一律で出荷制限がかかっていたカブと花野菜についても5月18日付けで解除された結果、現在奥羽山脈の西側には農産物の出荷制限地域はありません)。

現在、福島県下の作付け制限はイネに関してのみ行われ、イネ以外の作物には土壌からのセシウムの移行係数を設定できる十分な科学的データがないという理由で制限は行われていません(くわしくはここここ)。そのかわり収穫後の放射線検査結果により出荷制限がかかります。もっとも日本土壌肥料学会のホームページこの表で紹介されている穀物や野菜へのCs-137の移行係数の例をみると、移行係数の値は作物によってかなり違い、特にアブラナ科の葉もの野菜は穀物に比べてざっと1ケタ大きいことがわかります。
(葉もの野菜と穀物、特にイネとの移行係数の差は、移行係数が作物の可食部=食べられる部分について重量あたりで算出されているという事情によります。玄米を精米した白米ではもみ殻や稲わらに取り込まれる分は含みません。一方葉もの野菜は根以外すべて食べることができます。くわしくは土壌肥料学会の解説ページで)

福島県は浜通り(阿武隈高地と太平洋の間)、中通り(奥羽山脈と阿武隈高地の間)、会津(奥羽山脈の西側)の3つの地域に分かれますが、土壌中のセシウム量がイネの作付け制限基準よりかなり低い中通り地域の中部、南部で比較的奥羽山脈の山麓から離れた地域からも、セシウム量が暫定規制値を超えるキャベツやアブラナが検出され出荷制限がかかったのも、移行係数の違いを見ればうなづけます。上でご覧いただいた地図を横において見比べながら、ぜひ「全国の食品の放射能調査データ」(当初MIT客員研究員/産業技術総合研究所 河尻耕太郎様による食品中の放射性物質の検査結果のデータベースとして出発しましたが、現在は厚生労働省が公開するまとめPDFファイルからデータを自動的に読み取って更新を続けています)か(財)食品流通構造改善促進機構のホームページにある「出荷制限があった地域と品目」コーナーで福島県産の野菜を検索してご確認ください。単純計算では、出荷制限にかからない葉もの野菜を生産できるのは、イネより10倍厳しい作付け制限基準500 Bq/kgをクリアできる地域(地図の上に紫色のピンが立っている所全部と、青色のピンが立っているところの一部)に限られることになります。5月8日現在福島県下でホウレンソウが出荷されている地域,、すなわち浜通りの最も南の部分(白河市、矢吹町、棚倉町、矢祭町、塙町、西郷村、泉崎村、中島村、鮫川村)といわき市は、西郷村と泉崎村が1000 Bq/kgを超えているのを除けばいずれも1000 Bq以下の地域です。

有田正規先生(東大・理・生物化学)の日本と海外でいろいろな農作物について報告されたCs-137の移行係数の値の紹介とまとめも作物ごとの影響の違いを考える上で参考になります。(ただし報告されている移行係数の値には、作物の乾燥重量あたり=欧州と水分込みの生重量あたり=米国と日本の2通りが入り乱れていて、乾燥重量あたりの数値は生重量あたりより大きくなります。乾燥重量あたりの値を生重量あたりに換算するには乾物割合で換算する必要があります)
玄米は白米より移行係数が大きい
麦は米より移行係数が1ケタ大きい
葉もの野菜の中でもホウレンソウ、コマツナ、からし菜、パセリは特に移行係数が大きい(逆にセロリは小さい)
実もの野菜(トマト、ナス、ピーマン)、根菜(ニンジン、大根)は葉もの野菜より移行係数が小さい
豆類、いも類は移行係数の値にばらつきが大きい(複数データの最大値と最小値の間に1ケタまたは2ケタの差)
果物(イチゴ、メロン、リンゴ)は葉もの野菜より移行係数が小さく、実もの野菜や根菜と同程度(ただしこれは国内のデータではありません)

地図化した各測定点について、公表日別にCs-134(半減期約2年)のCs-137(半減期約30年)に対する割合を計算して見ると、次のようになりました。
4月6日公表分:全測定点の平均0.892、水田と転換畑(58カ所)の平均0.891、果樹園と畑(12カ所)の平均0.900
4月12日公表分:全測定点(すべて水田)の平均0.874
4月22日公表分:ハウス5カ所を除く全測定点(水田1カ所を除きすべて畑)の平均0.899、水田0.977、畑の平均0.896
農地の利用区分にかかわりなく、ほぼ同量のCs-134とCs-137が存在していると言えます。
2年後にはCs-134が半減する結果、土壌中の放射性セシウムの総量は現在の約3/4に低下すると予想されますが、放射性セシウムが土壌中の粘土鉱物である雲母と結合すると再可溶化が非常に難しくなるので、そうなる前に一刻を争って土壌中から除去しておくべきだという土壌学の専門家(東大農学部・森敏名誉教授)の指摘を見かけました。土壌学の知恵と力を福島に結集すべき時でしょう。

食品として出荷できる農産物の生産を続けることが難しいとすれば、かわりにバイオ燃料としても利用できる植物油を取れる植物を栽培するのがいいという考え方もあります。放射性セシウムはイオンとして水に溶けた状態で存在し、生体内ではカリウムと似た挙動をするとされていますが、逆に水の少ない所には分布しにくいと考えられます。しかも植物油の主な構成元素である水素、酸素、炭素のいずれを置き換える性質もありませんから、植物の種子の中に栄養分として貯蔵される植物油への混入の可能性は小さい。

なお、「1週間間隔の検査で3回連続して暫定規制値を下回る」という条件をクリアして出荷制限が解除された後も、農産物の放射線検査は続行し、測定値を公表することになっています。県外だけでなく県内の消費者の信頼を回復するには重要なステップですのできちんと実行してほしいものです。県内産の牛乳や野菜を学校給食で使うことに対する保護者の抵抗感(福島県内の農家は県外だけでなく県内からも風評被害にあっているとも言えます)も、単に「暫定規制値を下回っている」と聞かされるだけでなく解除後公表された測定値を見ることができれば徐々に小さくなっていくはずです。たとえば4月16日付けで出荷制限を解除された奥羽山脈の東の麓(郡山市、本宮市)、阿武隈高地の西の山腹(小野町)と2つの山地の間(泉崎村)の産地から5月2日5月9日に採取測定された原乳からは、いずれも放射性物質は検出されなくなっています。

(付記1)水田や畑以外からとれる農産物については、5月1日5月6日5月8日
づけで放射性セシウムの測定値が暫定規制値を超えるタケノコが報告されました。タケノコへの放射性セシウムの移行係数の報告は見当らず、セシウムを吸着しやすいことが知られているキノコとの比較は現時点ではできません。もっともタケノコはカリウムを多く含むことで知られた食品なので、土壌中のセシウムがカリウムを置き換えてタケノコに取り込まれていることは十分考えられます。さらに、もともとタケノコの採れる場所はどちらかといえば平地というよりは山に近いところであり、山の麓や山腹は風に乗って移動してきた放射性物質が行く手を遮られて集まりやすいところであることが、早い時期から基準値越えの野菜や牛乳が検出されていた産地の位置を地図上で見れば見て取れますから、タケノコの生える場所の土壌は水田や畑よりも放射性物質を多く含む傾向があることは想像に難くありません。今回報告された基準値越えのタケノコの産地はいずれも奥羽山脈の東の麓か、阿武隈高地の東西の麓または山腹です。

(付記2)放射性セシウムの測定値が暫定規制値を超える山菜(こごみ)もタケノコと同時に報告されましたが、こちらの産地もいずれも奥羽山脈の東側です。

(付記3)牧草へのセシウムの移行係数はたいていの野菜より大きいことが学会発表されているとのことです。
塚田 祥文(財団法人 環境科学技術研究所). 各種農作物における土壌-植物間の137Cs移行係数. 日本原子力学会 年会・大会予稿集, Vol. 2006f (2006) pp.851-
こちらのブログ記事に掲載されている図によれば、移行係数の値は白米0.0016、ハクサイ0.067に対し牧草0.14。牧草が具体的に何をさすかはこれだけでは不明ですが、同じ著者グループによる別の論文
武田晃・塚田祥文・高久雄一・久松俊一:土壌に添加されたCsおよびIの形態変化と植物吸収  平成20年度 環境科学技術研究所年報
では、オーチャードグラス(イネ科の多年草)や赤クローバー(マメ科)を取り上げています(これは青森県六ヶ所村にある環境科学技術研究所で行われた研究で、青森の土壌に関する結果です)。

福島県では5月6日付けで改訂した農家向け資料、 第2号「原子力災害に関する農作物の技術対策Q&A」で「稲以外の作物については、作付制限は行われません。したがって、飼料作物の作付を行っても差し支えありません。ただし、収穫前等にモニタリング検査を実施し、給与可能かを判断します。」と説明し、5月2日付けの 第5号「原子力災害に関する飼料作物の収穫と利用」で県内7カ所(いずれも奥羽山脈の東側、しかもホウレンソウが出荷できている西郷村と鮫川村を含む)で牧草から基準値越えの放射性物質が検出されたことを発表して「当分の間放牧は実施しない」よう呼びかけていますが、この移行係数の数値(白米より2ケタ高く、葉もの野菜の約2倍)を見れば、葉もの野菜と同等(500 Bq/kg)か倍厳しい(250 Bq/kg)作付け制限基準値を設定して制限をかけるのが賢明でしょう。
あるいは牧草中のセシウムの暫定基準値のうち最も厳しいもの(乳用牛と肥育牛用の牧草に適用されるもの)が300 Bq/kgとされていますから、イネの場合と同様のルールで移行係数の実測値の一ケタ上の値=1、または実測値の10倍の1.4で割ったものを作付け制限基準とすると、300 Bq/kgもしくは214 Bq/kgということになり、200-300 Bq/kgの間で作付け制限基準値を設定はするのは妥当といえます。

もっとも移行係数の高さを逆手に取って、「牧草の種をまいては刈り取ることを繰り返せば土壌中のセシウムの除去になる」という考え方もあります(たとえばこのブログ記事の「付記1」)。

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2011年3月16日 (水)

iPhone版無料ネット電話アプリが安否確認に活躍中(その2)

前の記事(必ずこちらもお読み下さい)
でご紹介した無料ネット電話アプリ
Viber
の利用登録方法で、一番つまずきやすいところは、利用開始に必要な4ケタの登録番号をSMSのかわりに電話で通知してもらう段階です。ここさえクリアーできれば電話機能がなくWi-Fi接続しかできないiPod touchやiPadでも、自宅の固定電話や携帯電話の番号を登録することでWi-Fi環境下でViberユーザーとのインターネット経由の通話ができます。利用登録完了後はすぐ使え、海外との通話でも大丈夫です。コツをご紹介しますのであきらめずにトライしてください。

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利用方法
(1) Viberをダウンロードして立ち上げる
(2) Viberがアドレス帳を利用することを聞かれるので「OK」を押す
(3) 自分の国を選択し電話番号を入力して「Continue」を押す
(番号を入力する際、頭の0は抜く(例: 9012345678>のように)
(4) SMSにて4ケタの番号が送られてくるので入力して「Enter Viber」を押して完了

以下SMSが送られて来ない場合(ここでつまづく人が多いようですが、こうすれば先へ進めます)
(5) SMSが送られて来ない場合は、右上の「HELP」を押す
(6) Webページが立ち上がるのでそこに電話番号を入力する
(7) 電話がかかってきて4ケタの番号を英語の音声で通知される
(8) Viberを再度立ち上げ、その番号を再度入力して完了
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(5)-(6)で登録番号の通知を請求して「try again」と表示された場合、請求が混み合っていてすぐに対応できないことを意味します。24時間以上待って改めて請求してみてください。「Please wait」と表示された場合、比較的短時間で登録番号を通知する電話が自動的にかかってきます。

(7)の電話は番号非通知でかかってきますので(請求から実際にかかってくるまでに少し時間がかかる場合もあり)、とったらすぐにこちらから(語尾を上げて)「ハロー?」と応答しましょう。ここが一番大事なところで、何も応答しないと電話はすぐ切られてしまいます(カスタマーレビューで「ワン切り」と言っているのはこのことをさします)。応答を確認したら、相手は4ケタの番号を英語で2回読み上げてくれますので、これを聞き取って記録すれば(8)に進んで利用登録を完了できます。ノイズが多く音声が聞き取りにくいようなら”Once more?"(ワンスモア?)と言ってみましょう。
登録番号通知の電話がかかって来ると同時に留守録機能に切り替えて番号を読み上げてくれる音声をキャッチし、あとで聞いて登録に成功したという報告もあります。

たとえ(5)-(6)で登録番号の通知を請求したあと最初にかかってきた電話を取り損ねても、通知請求は24時間で2回までできます。

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2011年3月13日 (日)

iPhone版無料ネット電話アプリが安否確認に活躍中

Viber
はiTunes App Storeに登録されている無料ネット電話アプリで、アプリをインストールしているiPhone, iPod touch, iPadの間でWi-Fiまたは3G経由のインターネット通話が無料でできます。現在東北関東の被災地で、携帯電話がつながらない中このアプリを使って安否確認に成功したという報告があいついでいます。現在「ソーシャルネットワーキング」カテゴリーの無料アプリのダウンロードランキングトップです。
開発元 Viber Media Inc.
が海外で、画面表示は基本的に英語、開発元ホームページには英語の説明しかありませんが、App Storeのカスタマーレビューに日本語によるくわしい導入手順をアップしてくださっている方がおられるのを見つけましたので、無許可で申し訳ないのですが以下に転載させていただきます。どなたかのお役に立てていただければ幸いです。

現行版は今年1月24日公開のバージョン1.1です。
動作環境はiPhone, iPod touchおよびiPad互換iOS 3.0以降で、電話機能がなくWi-Fi接続しかできないiPod touchやiPadでも、自宅の固定電話や携帯電話の番号を登録することでWi-Fi環境下でViberユーザーとのインターネット経由の通話ができます(Wi-Fi対Wi-Fi, Wi-Fi対3G, 3G対3GいずれもOK、ただし3G対3Gでは会話か途切れたり遅延したりする場合があるようです)。
Viberユーザーでない相手との通話は、iPhone標準の電話機能に切り替わり、有料で行われますのでご注意下さい。

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(前略)
利用方法
(1) Viberをダウンロードして立ち上げる
(2) Viberがアドレス帳を利用することを聞かれるので「OK」を押す
(3) 自分の国を選択し電話番号を入力して「Continue」を押す
(番号を入力する際、頭の0は抜く(例: 9012345678>のように)
(4) SMSにて4ケタの番号が送られてくるので入力して「Enter Viber」を押して完了

以下SMSが送られて来ない場合(ここでつまづく人が多いようですが、こうすれば先へ進めます)
(5) SMSが送られて来ない場合は、右上の「HELP」を押す
(6) Webページが立ち上がるのでそこに電話番号を入力する
(7) 電話がかかってきて4ケタの番号を英語の音声で通知される
(8) Viberを再度立ち上げ、その番号を再度入力して完了

ちなみに(5)以下の方法であれば、iPod touchやiPadなどでも、ケータイの番号や自宅番号で利用が可能。

セキュリティについて
Viberは利用時にiPhoneのアドレス帳情報をサーバーに送信します。
これは、iPhoneのアドレス帳に登録されているユーザー同士がViberを利用しているか自動的にわかるようにするシステムに利用しているためです。
送信するアドレス帳の内容は登録されている人全員の「氏名、電話番号」のみです。
*メールアドレスは送信されていません。

現在送信時に情報が暗号化されておらず、この点がセキュリティにおいて不安視されています。
Viberは3月のアップデートにて暗号化の対応を予定しているとアナウンスしています。
セキュリティが気になる方は、アップデート以降の利用をおすすめします。(転載者注:このアップデート版はまだ公開されていません)

また、収集した個人情報はViberのシステム運営において必要な信頼できるパートナーとのみ共有し、それ以外の理由で第三者に販売したり譲渡したりしないとViberのCEOが明言しています。
(以下略)
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2011年3月 9日 (水)

iPhone用アプリのアップデートは、直接やらずにMacを通そう

使用中のiPhone用アプリケーションのアップデート版が公開されたら、iPhoneのWi-Fi接続機能でApp Storeから直接ダウンロードすればいい、何でわざわざMac経由でというのが世間の大勢でしょうが、それでもあえてこんなタイトルで記事を書くのは、つい昨日こんな経験をしたからです。

たまたまiTunesに接続してアップデートをチェックすると、
ココログエディタ改めココログ for iPhone
のアップデート版(2.0.1)が出ているというメッセージ。他にも2つほどのアプリのアップデート版が公開されていたので何の気なしに全部まとめてアップデートをかけた後、ふとApp Storeの説明文を読んでみたら、なんとバージョン2以降の対応ハードウェアからiPod touchの第1世代だけでなく、第2世代まではずれてしまっているではありませんか。しかも旧バージョン1.1.1との間にデータの互換性がなく、アップデート前に残っていた下書きはアップデート後は参照できなくなるという恐ろしいギャップ(しかもこんな大事なことがココログのお知らせには書いてなくて、AppStoreの説明を読まなければわからないというのはもっと問題)。iPhone/iPod touch上から管理画面を通さずに直接コメント管理ができるようになったのは魅力的ではありますが、これではとてもこのままiPod touchを接続して同期するわけにはいきません。

なんとかココログエディタだけを旧バージョンに戻す方法はないものかと思ってゴミ箱の中を見ると、アップデートしたソフトの旧バージョンのファイルがそっくりここに移動してきているのです。これ幸いとココログエディタの旧バージョンのファイル「CocologEditor 1.1.1.ipa」(白紙の真ん中に青い丸に音符のiTunesのアイコンがかいてあるのですぐわかります。拡張子ipaはたぶんiPhone applicationの略なのでしょう)だけをデスクトップに持ち出してきてダブルクリックすると、「より新しいバージョンのファイルがここにあります。置き換えますか?」というメッセージが出てきますので、すかさず「置換」ボタンを押して旧バージョンに戻すことができました。これで安心してiPodの同期ができます。

入れ替わりにゴミ箱に追い出されてきた新バージョンのファイル「Cocolog 2.0.1.1299132933.ipa」の方も、一応デスクトップに持ち出して新しいiPod touchが手に入ったら入れられるようにしてあります。もっとも新しいiPod touchが手に入るのはいつのことになるか見当もつかないので、そのうち本当に捨てられることになるでしょうが。

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2011年3月 7日 (月)

MacJournal 5.2.7製品版

前のβ版5.2.7b2
の期限切れギリギリに公開されました(2011.3.5付け)。
作者ブログのお知らせ記事
(ダウンロードもここからできます)

前のβ版と変わったところは、LiveJournalという日本であまり使われていない海外のブログサーバーシステムの最近の仕様変更に対応したことだけですが、iPhone, iPod touch, iPadと同期使用しておられる方はぜひアップデートされることをおすすめします。

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